雨上がりの景色を夢見て
「お相手は、学校の先生なのかな」

誰かが、そう呟いた声が聞こえて、ドキッとした。

「中川先生とそう言う話したことなかったから、驚いたなー。ねえ、高梨先生」

「えっ、あっ…えっと…」

隣の席の先生に話を振られて、明らかに動揺している高梨先生。答えに困っていると、ちょうどいいタイミングで、校長先生が話を続けた。

「中川先生のこと、大切にしてくださいね、高梨先生」

「「えっ」」

職員室内の先生達の視線が高梨先生に集まった。恥ずかしそうに頭をかく高梨先生。

「「えー!?」」

一瞬間を置いて、職員室内とは思えない声が、一斉に響き渡った。

「まっ、待って…頭が混乱してる」

「せ、説明して下さいよ」

高梨先生の周辺の席の先生達が、高梨先生に詰め寄る。

「中川先生、本当に?本当に?」

坂本先生は、私と高梨先生を交互に見て、目をキラキラさせている。

私が照れ臭くなりながらも、頷くと、ぎゅーっと抱きついた。

「高梨先生、こんな綺麗な奥さん捕まえて、羨ましすぎる…」

「独身同盟組もうと思ってたのに…」

しばらく、私達は、いろいろな先生に質問攻めにあいながらも、祝福された。

私よりも、高梨先生の方が、根掘り葉掘り聞かれていて、困っている高梨先生が時折、私の方を見て恥ずかしそうに笑った。



< 454 / 538 >

この作品をシェア

pagetop