雨上がりの景色を夢見て
「さっ、中川先生、もっと飲んで」

夜の飲み会で、私は色々な先生から、祝福されて、申し訳ないくらい、お酒を注いでもらった。

高梨先生は、私に遠慮してか、遠く離れた席で、他の先生達に囲まれている。

「最初聞いた時は、驚いたけど、2人のバランスとってもいいと思う」

高梨先生と同期の国語の安藤先生が、嬉しそうにそう言って微笑んだ。

「僕もそう思います。でもやっぱり、高梨先生って、理想高かったんですね」

高梨先生と一緒に野球部の顧問をしている、今年初任の先生が、ほろ酔い気分で、私たちの会話に加わる。

「都築先生は、高梨先生とは恋愛の話したことあるの?」

「ありますけど、好みのタイプ聞いても、〝内緒〟って言って、いつもはぐらかされてたんです」

そうだったんだ。

「職員室で、中川先生と結婚するって聞いて、腰抜かしそうなくらいびっくりしたんですよ?」

「みんなそうだったんじゃない?特に、独身の男の先生なんて」

独身の男の先生…?

不思議に思い、安藤先生を見ると、悪戯っぽい笑顔で笑った。

「ふふっ…気にしないで。さてと、色々聞いちゃおうかしら。私こういう話大好きなのよね」

安藤先生は、自分のグラスを持って、私のグラスに当てると、美味しそうにお酒を飲む。

「はい!俺も入れてください!今後の参考に」

都築先生も、腕を伸ばして自分のグラスを手に取ると、私と安藤先生のグラスに順番に当てて、お酒を喉に流し込んだ。




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