雨上がりの景色を夢見て
夏奈さんの運転する車で、一度家へ戻り、泊まりに必要な最低限の荷物を持ってすぐに車に戻った。

終始、嬉しそうな夏奈さんの様子に、久々の泊まりということもあり、私も嬉しくなった。

「今日、掃除したばっかりだから、綺麗だとは思うけど…どうぞあがって」

夏奈さんに促されて、中に入る。夏奈さんお手製のアロマの香りがしてきて、ほっと落ち着く。

「おじゃまします」

「今、お風呂沸かすわね」

リビングの電気をつけて、夏奈さんはすぐに浴室に向かう。

ふと、テーブルの上に出しっぱなしの書類が目に入った。

特別養子縁組…?

同じ文字の書いた、何種類かのパンフレットが広げられていて、手書きでまるで囲まれている箇所がいくつかあり、思わず釘付けになった。

「あっ…ごめんなさい。出しっぱなしだったわね」

浴室から戻った夏奈さんが、私が手に取っているパンフレット以外の書類を重ねて整理する。

「ごめんなさい…目に入っちゃって…」

「いいのよ。見てて」

そう言って、夏奈さんは、すでに入れて保温していたコーヒーを出してくれて、私に座るように促した。

私の閉じたパンフレットを手に取って、開いた夏奈さんは、そのまま私の向かいに座る。





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