雨上がりの景色を夢見て
「…修二くん…一緒に行こうか…」

まさか、私がそう言うとは思っていなかったのだろう。修二くんは驚いた表情で、私を見つめる。

「…いいんですか…?」

「…うん…」

今日、ショッピングセンターで会った時に引っ掛かった修二くんの言葉を思い出す。

〝俺なんか〟はまだ貴史のお墓参りに行くことができていない自分への後ろめたさなのだと思った。

「…っ…ありがとうございます」

「…ちょっと…泣かないでよ」

涙ぐむ修二くんにそう言ったけれど、修二くんのほっとした気持ちは伝わってきた。私は新しいおしぼりの袋を開けて、修二くんに差し出した。

「今日は、お礼に奢ります」

「お互い気を遣うのなし。割り勘にしましょう」

どちらから誘ったから、とか年齢が上だからで奢られる事に、躊躇してしまう。

年齢も対して変わらない修二くんとは、割り勘にするのが1番スッキリする。





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