雨上がりの景色を夢見て
「はい。高梨先生は皆さんに質問攻めにあってました」

「そう。夏樹、照れてたでしょう?」

「はい」

さすが、夏奈さん。高梨先生の様子が容易に想像できるんだ。

夏奈さんは、楽しそうに、ふふっと笑って、もう一度私の向かい側に座る。

「なんか、いいわね、そういうの」

にこにこと私を見る夏奈さんに釣られて、私も笑顔になる。

「雛ちゃんの転勤先も、同じ市内で安心したわ。これで単身赴任になっちゃってたら、夏樹、心配で心配でたまらなかったんじゃないかしら」

「…そうでしょうか…?」

「そうよ。夏樹は、雛ちゃんがそばに居ないと、落ち着かないと思うわ」

夏奈さんの言葉に、以前私が倒れた時の夏樹さんの言葉を思い出した。

「心当たり、あるでしょ?」

夏奈さんは、私の考えていることが何となく分かったようで、またふふっと微笑んだ。

ピーッ  ピーッ

お湯の沸いた音がして、夏奈さんが立ち上がる。

「シャンプーやボディーソープは私のを使っていいわ。あと、ドライヤーもあるから自由に使ってね」

「はい。ありがとうございます」

私は返事をして、浴室へと向かった。




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