雨上がりの景色を夢見て
「夏樹と雛ちゃんの子ども、私はおばさんとして、素直に可愛がるわ」

私の言葉に、驚く雛ちゃん。そんな雛ちゃんの目を見て、私は力強く言葉を続けた。

「だから、子どものことで、絶対に私に気を遣わないで。気を遣われた方が、私は悲しくなるの」

言い終わり、にこっと、笑顔を向けると、驚いていた雛ちゃんの表情がふわっと柔らかくなる。

「…はい」

可愛らしい穏やかな笑顔が、私の気持ちを安心させる。

「ふふっ」

思わず声を出して笑ってしまった。雛ちゃんは少し恥ずかしそうに微笑んだ。

ガチャッ

「おはよう」

「おはよう。圭吾さん、起こしちゃった?」

「いやいや、目覚めがちょうど良くてね。雛ちゃん、いらっしゃい。あっ、おはようかな」

寝起きとは思えない爽やかさの藤永先生には、毎回驚かされる。

「おはようございます。おじゃましています」

雛ちゃんは、礼儀正しく、わざわざ立ち上がって丁寧に頭を下げた。

「コーヒーいれるわ」

「ありがとう」

私が立ち上がるのと入れ違いに、雛ちゃんの斜め向かいに座った藤永先生。

「よく寝れた?」

「はい」

「昨日、結婚の報告したんだって?かなり緊張したんじゃない?」

「…はい。でも、夏樹さんもいたので、どちらかというと、みんな夏樹さんの方に質問してくれて、助かりました」






< 471 / 538 >

この作品をシェア

pagetop