雨上がりの景色を夢見て
第19章 新しい環境
丁寧に答えてくれた藤永先生に、お礼を伝える。

夏奈さんを見ると、優しい眼差しで私を見つめていた。

夏奈さんの前で話していいのか迷ったけど、さっきの夏奈さんとのやりとりを思い出して、一緒に話を聞いてもらいたいと思った。

私は、治療を続けていく中で、こういう状態で妊娠、出産、育児が可能なのか不安になった。

ネットに書いてある内容にはばらつきがあり、難しい用語ばかりが並んでいて、逆に不安になってしまった。

全てが大丈夫だと言い切れるわけではないけれど、藤永先生の言葉に胸を撫で下ろした。

「何かあったら、力になれるから、相談して?」

「ありがとうございます」

藤永先生の優しい表情に、私はホッとしてお礼を伝える。

ブッ ブッ

スマホが振動したことに気がつき、ポケットからスマホを取り出す。

夏樹さんからの着信だ。

「夏樹さんからです。出てもいいですか?」

「うん、遠慮しないで」

立ち上がって、部屋の隅の方で電話に出る。

『おはよう、雛』

『おはようございます』

電話越しの高梨先生の声は、寝起きで掠れていた。

『迎えに行きたかったんだけど…見事に2日酔い…ごめん。夏奈の言葉に甘えることにするよ』

申し訳なさそうな高梨先生の言葉に、私は思わずふふっと笑ってしまった。





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