雨上がりの景色を夢見て
『昨日、楽しめたようで安心しました』

2日酔いになるくらいはめを外して飲めたんだなと思うと、私の事を気にしすぎることなく過ごせていたことに安心する。

『…優しいな』

『ううん。嬉しいんです』

『えっ?あっ…夏奈に代わってもらってもいい?』

『はい』

「夏奈さん、夏樹さんが代わって欲しいと」

藤永先生と談笑している夏奈さん近づいて、スマホを差し出す。

「夏樹、おはよう。あらやだ、ひっどい声ねー」

夏奈さんは、高梨先生の声を聞いて、おかしそうに笑った。

「ええ、そのつもりだから大丈夫よ。お昼頃に送っていくから、それまで寝てなさいよ?」

夏奈さんは終始笑顔で、夏樹さんと話をしている。

「夏樹、2日酔いになるなんて珍しいわね」

電話を切って、私にスマホを渡した夏奈さんは、そう言って面白そうに笑った。

「祝杯も含まれてたんじゃないかな」

隣の藤永先生が優しく微笑んで、私に微笑みかける。

私もつられて微笑んで、コーヒーを口に運んだ。

「さっきの話のことだけど、夏樹くんともちゃんと相談しておくことが大切だよ」

「はい」

藤永先生に話をして、少し気持ちが軽くなった。そのことで、高梨先生にも話を切り出しやすくなった気がする。



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