雨上がりの景色を夢見て
「おかえりなさい」

「ただいま。これ、清水と近藤から。雛にだって」

そう言って手渡された紙袋。ずっしりとした重みを感じた。

「今日、学校に来たの…?」

「うん。連絡メールを見て、2人で準備してくれたらしいよ」

高梨先生は嬉しそうに話すと、ネクタイを緩めながら着替えに寝室へと入っていく。

私はリビングに戻り、紙袋をテーブルに置いて、中に入っていた手紙を手に取った。

〝高梨雛先生
ご結婚おめでとうございます。
まさか、私達の担任の先生と夫婦になるなんてビックリ!

でも、お似合いだなあって、2人で話しています。

先生、末永くお幸せに!〟

2人の可愛らしい字で、気持ちが込められているメッセージに、心がとても温かくなった。

「手紙?」

着替えた高梨先生が、後ろから私の首に腕を回して、ぎゅっと抱きしめる。

「うん…。優しい子達ね」

「特に、清水と近藤は、保健室に遊びに行くのが楽しみだったからな」

プレゼントの包みに手を伸ばして、中の物を取り出す。

「素敵ね…」

「そうだな」

近藤さんと清水さんがプレゼントしてくれたのは、シルバーの写真縦。細かいお花が彫ってあって、とても美しいデザインのものだった。

「結婚式の写真、入れるのもいいね」

「そうね。それまで大事にしまっておくわ」

私は写真縦を箱の中にしまい、棚に置いた。


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