雨上がりの景色を夢見て
プシュっという缶を開ける音がリビングに響く。そして、高梨先生は、私の隣に腰掛けて、ビールを一口飲んだ。

それを見て、私もゴクッとビールを流し込む。

「…違ってたら、誤解だってすぐ言って」

「…うん」

多分、誤解ではないことだと思う。

ぎゅっと缶を握りしめて、高梨先生の言葉を待った。

「雛は…









貴史くんの後を追って










死のうとした?」











ドクンッと私の心臓が大きく鼓動した。

そして、あの時の記憶が次々と私の頭をよぎっていく。

ふらーっと道路に吸い寄せられて行った自分自身。

直前で掴まれた肩。

地面に尻餅をついて倒れた私の耳に届いた、私を引き戻した人物の安堵した声。

騒然とした周囲の様子。

引き戻された時の、貴史の元へ行けなかった悔しさと悲しさ、だけどその反面、救ってもらえてよかったと思う自分に気づき、さらに自己嫌悪に陥った。

呼吸の荒い私の背中をトントンと一定のリズムで叩く人物は、

『…兄貴に電話するから。すごく心配してたよ?』

そう言って、私を立たせた。

『………はい』

一言だけそう答えて、私は制服のスカートをパンパンと叩いた。

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