雨上がりの景色を夢見て
貴史のいない現実。

私のせいで死んだのだという罪悪感では言い表せないほどのぐちゃぐちゃになった感情。

何もかも嫌になった私は、引きこもっていた部屋をふらっと出て、街の中をさまよっていた。

あの時、なぜ制服を着ていたのかすら記憶にない。

一応、学校に行こうか迷って朝着替えていたのか、それとも貴史を追い求めて制服に身を包んだのかはいまだに分からないまま。

事故にあったのに、車道に出ることに恐怖心は無かった。

というよりも、本当に何も考えていなかったんだと思う。

ただ、右側から大きなダンプカーが走ってきている光景は今でも記憶にある。

プーっというクラクションが耳に響いた瞬間、私の体は後ろへと引っ張られて、尻もちをついた。

私の背後で聞こえて声は賢さんのものだと、顔を見て分かり、私は少しだけ動揺した。

こんな所を目撃されてしまったから。

仁さんが…心配してる?

賢さんの言葉から、真っ白だった頭に仁さんの顔が浮かんだ。

『瑠璃子さんは、知らないから、安心して』

ああ、そうか。もうすぐ出産間近の母に心配をかけないための仁さんの気遣い。

『今、ちょうど夜の開店に向けて休憩してる時間帯だから、誰もいないよ?そこで兄貴の迎え待とう』

仁さんとそっくりな声で、穏やかにそう言った賢さん。穏やかな賢さんの表情が、私の胸をぎゅっと締め付ける。


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