雨上がりの景色を夢見て
すぐにオムライスと煮込みハンバーグが運ばれてきて、テーブルが食欲をそそる香りで包まれる。

「おいしそうだ」

「間違いなく、美味しいと思います」

高梨先生は嬉しそうに頷いて、両手を合わせると、

「いただきます」

と言って、ナイフとフォークを手際よく使って、ハンバーグを口の中へと入れた。

「んー、うまい」

満足そうな先生の表情に、私も嬉しくなって、笑みが溢れる。

私もオムライスをスプーンですくって口へと入れると、懐かしい味に、心がほっとした。

そういえば、菜子がここのミルクレープが好きだったな。帰りにテイクアウトして、実家に寄って置いていこうかな。

「何か、嬉しそうなこと思い出した?」

優しく微笑んで、高梨先生が尋ねた。

「はい。菜子がここのミルクレープが好きだった事を思い出して…」

「そっか。じゃあ、帰りにご実家の分スイーツのテイクアウトしていこうか?」

私の考えていることと同じ提案に、ちょっぴり照れ臭さと嬉しさの混ざった感情になる。

「はい。みんな喜ぶと思います」

ふふふっと笑って、とろとろ卵とソースの混ざったところをすくいとって口に入れる。

卵の柔らかさが昔から絶妙。







< 504 / 538 >

この作品をシェア

pagetop