雨上がりの景色を夢見て
「煮込みハンバーグ、食べ応え十分だったよ」

「ふふふっ。仁さんのおすすめ間違いなかったですね」

お水をごくっと飲んで、丁寧に水滴をお絞りで拭き取る高梨先生。

私もお水を飲んで、コップをテーブルに置くと、カランっという音を氷が立てた。

その音と同時に、

パチンッ

突然店内の照明が落ちて真っ暗になった。

て、停電…?

突然の暗闇に、私の心拍数がドドッと押し寄せるように速くなる。

「雛、大丈夫?」

「はい…」

正面から聞こえる先生の声が、唯一私の平常心をどうにか保たせてくれている。

だけど、やっぱり…怖い。

そう思って、自分の膝の上で、ぎゅっと拳を握り締めた瞬間、私の耳に入ってきた聞いたことのある曲に、恐怖心が驚きへと変わった。

ウエディング…ソング?

そう思った時、遠くからオレンジ色の明かりと共に、人影が見えた。

賢さん?

小さな花火のようなロウソクがお皿の上でパチパチとオレンジ色の光を灯している。

賢さんが私達のテーブルまで近づき、足を止める。

これって…



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