雨上がりの景色を夢見て

「雛ちゃん、夏樹くん、ご結婚おめでとう」

そっとプレートがテーブルに置かれると、

パチンッ

と店内の電気がつく。

同時に、店内にいたお客さんが拍手をして、お祝いの気持ちを伝えてくれて、驚きと嬉しさで胸がいっぱいになった。

左右や後方へお辞儀をして、前を向き直ると、高梨先生も驚きと嬉しさの混じった表情で私と賢さんとプレートを順番に見る。

プレートには、5種類のプチケーキがかわいらしく盛り付けてあり、お皿に直接、happy wedding と私と高梨先生の名前が描かれていた。

「これって…賢さんから？」

そう尋ねると、賢さんは、首を横に振った。

そして、にこにこ微笑みながら口を開いた。










「兄貴からだよ」










えっ…

賢さんの言葉に、私は嬉しさで、涙が溢れてきた。ぼやけた視界の向こうで、高梨先生が驚いた後、とても嬉しそうに笑ったのが分かった。

「兄貴が、雛ちゃんが結婚するって教えてくれた時、雛ちゃんのことだから、ちゃんと自分の口で伝えにくると思うよって言ってて、来た時にはお祝いプレート準備して欲しいって頼まれてたんだ」