雨上がりの景色を夢見て
ハーブティーの効果が出て、少しずつ眠気が出てきた。

カップをシンクに置いて、戸締りを確認する。

寝室のふかふかのベットに横になると、すぐに瞼が重くなった。









誰もいない昇降口。秋の夕日のオレンジ色の光に照らされている廊下。

『瀬下雛さん、好きです』

ああ、これは高校1年生の時だ。

頬を赤く染めて、私に照れ臭そうに微笑みかける学ラン姿の貴史。

『…私は、人に好かれるような人じゃない』

全然素直じゃない。あの頃の私は、ここまでひねくれていたのか、と呆れる。

嘘ばっかり。だってこの時はもう、私は貴史に惹かれていた。

『じゃあ、俺には、好かれたって事でいいじゃん』

そうだ。私の言葉に怯む事なく、貴史は明るく、そう返したんだ。

この貴史の言葉に、私は恥ずかしくて俯きながら、一言だけ返事をした。

『ありがとう』

その言葉に、貴史はその場でガッツポーズをして、嬉しさを爆発させた。

そして、私の両手を力強く握り、

『今から、瀬下さんの彼氏は、俺ね!』

とキラキラした笑顔で言った。





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