雨上がりの景色を夢見て
私の身体が一気に熱を帯びるのを感じて、慌てて先生から離れる。

先生は、ふっと笑って、私の頭をぽんっと撫でると、私にかけてあった先生の服を後部座席へと片付けた。

「中入ろっか」

私は頷いて、車のドアを開けた。

さっきまで寝ていたから、まだ少し身体がふわふわしているけれど、眠気はだいぶ抜けた感じがする。

「先にお風呂入っておいで。俺は、ちょっとだけ仕事してから入るから」

玄関の中に入ると、先生は靴を脱ぎながらそう言った。

仕事残ってるのに、今日実家に行くのまで付き合ってくれて、車でも待っていてくれたんだ…。

リビングに入る先生の後ろ姿を見ながら、先生の優しさに胸が締め付けられた。

「夏樹さん」

脱衣所に行く前に、リビングを覗いて、荷物を置いている先生に声をかける。

「ん?」

不思議そうに私の方を振り向いた先生に、私は、

「いつもありがとうございます」

と言って、脱衣所へと向かった。

自分の顔が熱を帯びて、鼓動が速くなっているのを感じる。

急にあんなこと言って、先生にうまく伝わったのかな…。

そう思いながら、服を脱ぎ、シャワーで髪の毛と身体を洗って湯船に浸かった。














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