雨上がりの景色を夢見て
先生は、包丁をもう一度洗って片付けると、ソファーの前のテーブルにチーズとサラミののったお皿を運ぶと、

「ちょっと待ってて」

と言って、一度リビングを出た。そしてすぐに戻ってくると、腕にはいくつもの冊子を抱えていた。

「今日、ちらっと話したんだけど、実は色々資料集めてた」

そう言って差し出された冊子には、おしゃれな家の写真の表紙だった。

有名なハウスメーカーや、建設会社の冊子がテーブルの上に広げられていく。

「いつの間に?」

「んー、ちょこちょこ目にした時に集めてたんだよね」

ということは、結構前から家を建てることを考えてたってこと?

そう思っていると、先生はふっと笑った。

「マイホームは持ちたいなっていうのは、結婚前提に付き合いはじめたころには思ってたんだ。でも、結婚する前に話すと、かえってそれが負担になるのかと思って」

「…そうだったんですね」

私は手渡された冊子の中身をパラパラとめくった。

あっ…

目にとまったページには、木に囲まれた中に立っている北欧風の建物。

素敵…。

「こんな風に、自然に囲まれた中で暮らしてみたいです…」

「いいね。こういうところだと、星も綺麗に見えそうだ」






< 520 / 538 >

この作品をシェア

pagetop