雨上がりの景色を夢見て
「そんな顔されると、俺まで照れくさくなるよ…」

先生はくしゃっとした笑顔で、私の湿った髪の毛を優しく触った。

「…すいません」

「いや…謝ることじゃないんだけど…なんか、俺も…ごめん」

お互いの視線が交わって、ふふっとお互い微笑みあった。

この空気が心地よくて、心がぽわんと温かくなる。

「今日じゃ資料も見きれないと思うから、時間ある時にちょっとずつ目を通しておくといいよ」

「はい」

先生は、そう言うとチーズとサラミを重ねて口へ入れた。

私もチーズを一切れ手に取って口へと運ぶ。

「やっぱり、このチーズ美味しいですね」

「うん。もうすぐ無くなりそうだから、今度の休みに買いに行こうか」

「はい」











ゆっくり話をしながら、お酒を飲み終えた私達は、歯磨きをしたり後片付けをして、それぞれの部屋へと戻る。

「おやすみなさい」

「うん、おやすみ」

自分の部屋に入り、いつものようにオレンジ色の明かりに変えて、布団へ入る。

だけど、さっきまで一緒にいたから、いつもは平気なのに、少しだけ寂しく感じる。

それに…

今日の賢さんのお店での暗闇の中、最初は怖かったけど、事情が分かったら恐怖心はなくなっていた。

いつも、明るくないと寝れなかったから、先生と同じ部屋だと睡眠を邪魔してしまうと思って、別々の部屋にしてたけど…。

私はそっとベットから出て、自分の部屋から廊下へと出た。







< 522 / 538 >

この作品をシェア

pagetop