雨上がりの景色を夢見て
パサッ

暗くなった直後、優しく私の身体がベットへと押し倒される。

そして、あっという間に、先生に腕枕をされて、私はふわふわの布団の中へと入っていた。

「…平気?」

「はい…」

そう答えながら、私の耳には先生の心臓の鼓動がはっきりと聞こえていて、私自身の鼓動が少し速くなってることにも気づいた。

「ごめん…暗いと、いつもとまた違って…」

えっ?

頭上から聞こえた先生の言葉に、最初は言っている意味がわからずキョトンとした私だけど、すぐにその意味を理解した。

私の体温が一気に上がった。

「…雛が勇気出してくれた時に、下心丸出しって…本当にごめん。少しすれば治るから」

「…はい」

そう返事はしたけれど、実は私もいつもと違うこの暗さに、恐怖心よりは、ちょっとした緊張感があり、さらにこの状況にソワソワしてしまっていた。

だけど、恥ずかしくて、そんなこと口にできるわけもなく、先生の胸元におでこを当てて、唇をぎゅっと噛み締めてじっとしていることで精一杯。

「…ちょっ、ちょっとそれ逆効果かも…」

「えっ?」

暗闇の中聞こえた先生の言葉に、見えない視界の中顔を上げる。







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