雨上がりの景色を夢見て
あっ…

近づく先生の顔がうっすらと見えた瞬間、私の後頭部は、先生の大きな手で押さえられて、私の唇と先生に唇が重なる。

するりと口に中に入ってきた先生の舌が、私の口内を自由に動き回る。

「…っ…ふぁ…っ」

自分の漏れた声に、羞恥心が広がり、私の体温が急上昇したのを感じた。

先生の姿がはっきりと見えない分、焦ったさや緊張感が混じり合い、今まで感じたことのない感覚が身体中に広がっていく。

「…やめとく?」

私を組み敷いた先生の姿が、暗闇に目が慣れてきて、ぽわんっと見えてきた。

上から見下ろす先生の姿に、私の胸がきゅんとして、私は無意識に首を横に振っていた。

「…暗闇、平気そうで安心した」

その言葉が耳元で囁かれた直後、私の首筋に先生の顔が埋まる。

今日は、いつもよりも自分の身体が感じやすい…。

私は、先生の頬を両手で包み込み、今度は自分から唇を重ねた。


















「…朝まで顔見せてくれないの?」

「………」

それはそれで、なんか寂しい。

先生の言葉に、ちょっと冷静になって考える。

「…俺は嬉しかったけどな」

えっ…

「…どうしてですか?」

枕に顔を埋めたまま、先生に尋ねる。

「雛自身をさらけ出してくれたから」

その言葉に、再びさっきまでの自分の乱れた姿を思い出し、私の顔がまた熱くなった。

その瞬間、私の耳がカプッと甘噛みされて、思わず手で耳を隠して先生の方へと顔をむけてしまった。

「耳、真っ赤だったよ?」

ふっと余裕の笑顔でそう言った先生。いつも見ている顔なのに、ものすごく甘くて優しさの溢れた雰囲気に、私はドキッとしてしまった。

「…もう一回乱れてみる?」

私が手で覆っている耳元で囁いた先生の言葉が、手を通り抜けて私の頭の中へと伝わる。

私は慌てて首を横に振って、もう一度枕へと顔を埋めた。

「残念」

優しくそう言うと、そっと私の髪の毛に指を通す先生に、私は顔を埋めたままドキドキしていた。

「雛は、髪も肌も、全部綺麗で透き通ってるな」

髪の毛に指を通した流れで、そのまま私の背中に指を這わせる先生。

「っ…」

そっと触れた指から熱が伝わり、わずかにくすぐったさを感じた。

「…あっ、ごめん。あまりにも綺麗だから触りたくなった」

先生は私の様子に気がつき、すぐに手をパッとはなしてくれた。

ここだけの話、ちょっとだけ物欲しくなった気持ちを理性で掻き消し、私は枕に顔を埋めたままコクッと頷いた。




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