雨上がりの景色を夢見て
そう。実は、私が挙式で着るウエディングドレスは、新作のもの。

値段は結構高めだったけど、色々試着した中で、高梨先生もスタッフの方もこれが1番似合っていると言ってくれたものだった。

「…顔が映らないのであれば…」

そう私が答えた瞬間、その場の空気がガラッと、明るくなったような気がした。

「ありがとうございます!カメラマンも喜びます!」

スタッフのキラキラした笑顔に、私は照れ臭さを感じながら引き受けてよかったと思えた。

「披露宴の方ですが、前回の打ち合わせ通りでお変わりないでしょうか」

「はい」

先生が、すぐに答えて、もう一度書かれた内容を確認する。

私の体調や事情を考慮して、通常よりは短時間に。カラードレスは1着で、写真などの振り返りはカットすることにした。

「では、素敵な1日となるよう、私達も最善を尽くします。よろしくお願いいたします」

「こちらこそよろしくお願いします」

打ち合わせが終わって、来月いよいよ挙式を行うんだという実感が湧いてくる。

「次は、新婚旅行の打ち合わせだ」

私達は、夏休みを利用して、オーストラリアに新婚旅行へ行くことにした。

今日支払いを済ませて、最終日程の調整をする。

慌ただしく、いろいろなことが決まっていき、実は私自身ついていくのがやっと。

だけど、幸せも隣り合わせだから、全然苦にならない。

私は隣を歩く先生を見て、思わず微笑んだ。




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