雨上がりの景色を夢見て
こんなふうに家族と幸せな時間を過ごせるようになったのは、彼のおかげ。







もともと、私は母とも距離があった。自分の母とはいえ、娘の私から見ても、結構美人で、しかも有名企業に勤めていて高収入だった母は、父と離婚した後さまざまな人とお付き合いをしていた。

けれど、どの人とも長続きせず、別れた後はいつも母は泣いていた。

そんなに泣くなら、誰とも付き合わなければいいのに…。

中高生の頃の私は、冷めた目で母を見るようになり、いつしか自分から距離を取るようになった。

『再婚しようと思うの』

その言葉を聞いた時、私は猛反対した。それまで感情的に口出しすることなんてしなかったけれど、その時は『絶対認めない!』と言い切った。

そんな私の耳に追い打ちをかけるかのように次の言葉が聞こえてきて、私は気持ちがぐちゃぐちゃになった。

『妊娠してるの』

どうして?またうまくいかなかったら?別れてしまったら、その子も私と同じ気持ちにさせてしまうのに?

気がついたら、私は家を飛び出していた。




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