雨上がりの景色を夢見て
「あっ、中川先生だ」

職員室に書類をとりに戻る途中、昇降口で話をしている近藤さんと清水さんに会った。

「先生聞いて聞いて、今日、亜紀と佐々木くん一緒に帰るんだって」

清水さんが周りに誰もいないことを確認して、嬉しそうに教えてくれた。

「あら、素敵ね」

「千世、恥ずかしいからあんまり大きい声で言わないで」

真っ赤な顔でそう言った近藤さんだけど、嬉しそうに私に笑顔を向けた。

佐々木くんと近藤さんは、まだ付き合ってはいない。けれど、確実に距離は縮まっていて、お互い両想いなのは周知の事実。

「ごめん、日直の仕事長引いちゃってって、あっ…中川先生」

慌ててやってきた佐々木くんは、私に気がつき照れくさそうに頭を下げた。

「佐々木くんも、気をつけて帰るのよ」

「はい。…清水さんは一緒に帰らないの?」

昇降口に座ったままの清水さんを気にかける佐々木くん。

「さすがに、邪魔できないよー。私は、他のクラスの同中の子と約束してたからもう少しここで待ってるね」

手をふって、2人並んで傘をさしている背中を見送った清水さん。

「…寂しい?」

私は、清水さんの隣にしゃがんで、尋ねた。


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