パイロットは仕立て屋を甘く溺愛する
「良かったです。私も楽しかった」

 キャプテンにもまたお越しくださいね、と二人は笑顔で見送られた。
 紬希も濡れることなく海の中を楽しむことができてとても楽しかったのだ。
 それに、はしゃぐ貴堂という珍しいものも見せてもらったのだし。



 水族館に行った後は、ホテルに戻ってディナーをレストランでいただいた。
「器も可愛い!誠一郎さん、とってもおいしいです!」
「うん。すごくおいしいね」

 超一流のヴィラである。
 紬希が可愛いと言った器は地元の焼き物の器で、褒めた料理はミシュラン掲載のレストランのシェフの手になるものだ。

 けれど、好きな人と食べる食事が何よりも美味しいのだということは二人とも分かっていた。
 今日は観光で一日外出していた。明日はホテルでゆっくりしようと決めている。

 そのまるで別世界のようなホテルを紬希は入った瞬間からとても気に入っていた。

 内装は南国風でありながら、とても高級感がある。テラスにはジャグジーがあって、ジャグジーのある庭を抜けると直接インフィニティプールへの行き来が可能な部屋なのだ。

 食事を終えたあと、二人で手を繋いでプールサイドを散策した。
< 254 / 272 >

この作品をシェア

pagetop