見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
……なんか、妙な気持ちが湧き起こってしまいそうじゃないの。
「そ、それはどうもありがとう」
他人行儀な標準語が思わず口をついて出る。稔くんにまた、吹き出された。
冬の日本庭園は、冷たい空気でぴりっと張り詰めた感じがする。
天気が良いから寒すぎはしないけれど、着物だけだとやっぱり冷えてくる。スーツの稔くんも、ちょっと寒いのではないだろうか。
「ね、寒くない? そろそろ中に……」
言いかけた時に、さえぎるように稔くんの言葉が割って入った。
「なあ、はるちゃん。俺ら結婚せえへん?」
「…………えっ?」
いきなり?
幼馴染とはいえ、今日再会したばかりで結婚話?
いやまあ、見合いに来たのだから、そういう展開が先にあることも予想されて𠮟るべきなのかもだけど、それにしても今日の今日で?
「────なんで、いきなり?」
「見合いに気乗りせえへんかったんやろ。この話が無いことになったら、またたぶん、どっちの親も新しい見合い話持ってくると思わん?」
「……まあ、そやろね」
少なくとも私の両親はそうだろう。
「俺もさ、立場上というか、ずっと結婚急かされとって。来年30やねんからええかげん本気出せとか言われて、そんで今日の話や」