見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
【第2章】

 それからの半年間は、怒涛のように過ぎていった。

 見合い当日、個室に戻った私たちはその場で「婚約します」と宣言した。
 早い展開に双方ともに両親は驚いていたが、それもほんの少しの間のこと。

 喜びで勢いづいた両家によって、あっという間に結納の日取りと、同じホテルでの半年後の挙式が決められた。ホテルの知名度を考えると半年後でも本来、予約はいっぱいだったのではないかと思うけど、そこにねじ込めたのはやはり、フェアルート商事社長の力があってこそだろうか。

 唐突に決まった私の婚約に、友達も会社の知り合いも一様に驚きの反応を見せた。
 相手が大企業の社長令息だと知るとさらに驚愕していた。いったいどこでそんな縁をつかんできたのかと。

 まあ当然か。私の家は、会社社長になったのは父の代からで、そうなってからでも住んでいたのはごく普通の一戸建てだし、暮らしも特別に贅沢していたわけではない。収入はそれなりに増えたのだろうけど、だからと言って贅沢をして一般人の暮らしが分からなくなるような真似はしない、というのが父の信条だった。
 だから私自身の認識は、あくまでも自分は一般市民だったし、周りもそのつもりで友達付き合いをしていた、と思う。
< 24 / 120 >

この作品をシェア

pagetop