見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
就職してからも、実家は飲食店をやってます、という説明だけで済ませていた。
どこで調べたのか、「飲食店」が近県に8店舗を展開するレストランチェーンの経営だと知った男性が、近づいてきたことは何度かあるけれど。
だいたいそういう人は、我が家に過剰な期待をしているだけだから、お断りの一手だった。父は跡継ぎを身内に固定する主義ではないと公言しているし、婿養子に入ったからと言って楽ができるほどの家でもないのだ。
もっとも、今後どうなるかはわからない。
今回のお見合いには、フェアルート商事とうち、レストラン『クロケット』グループの業務提携が視野に含まれていることを知ったのは、結納の後だった。
そもそものきっかけは、私の母親とあちらのお母さんが、呉服店で着物を見繕っていた時に再会したことだったらしい。
かつてのママ友との再会はかなり盛り上がったようだ。それぞれの娘と息子について、30歳手前になっても結婚しないからいっそお見合いさせましょうか、との提案が出るぐらいに。
ちなみに同じ町内に住んでいた頃は、シングルマザーの宮本家をうちの母親がサポートする形だった。今は経済的、社会的立場は逆転しているけど、それについてはお互い(うちの母親も)気にならなかったようである。