見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!

 とはいえ、そのことと、私がすぐに彼らの金銭感覚に慣れるかという点はまた別であって、二人暮らしの新居にそんな高級な部屋を用意されたと知った時、比喩でなくひっくり返りそうになった。

 そもそも、夫婦二人に3LDKなんて広すぎる、と思ったのだ。
 せめて2DKぐらいが良いと言ったのだけど、稔くんのご両親いわく『子供が生まれればちょうどいい広さになるから』だった。私の両親も、稔くんも同じ意見だった。

 5対1では、私の反対が受け入れられるわけもない。
 ……私の両親はともかく、稔くんは私と同じように主張してくれると思っていたのに。

 ……なんで、子供ができた時のことなんか考えるのか。
 私たちは契約結婚ではないのか。
 子供なんて、できてもできなくても別に、気にしないのではないのか。

 義理の息子の稔くんが、跡取り候補になるくらいだ。フェアルート商事の幹部の人々は、社長職に関して血縁にこだわる主義ではないのだろう。

 だったら、私たちの結婚に、跡取りの確保が必須とは思われていないはず。
 必ずしも子供は、望まれていないはずなのだ。

 なのに、お互いの親はともかくとしても──稔くんまでどうして、子供ができた時の備えなんか考えるんだろうか。

< 49 / 120 >

この作品をシェア

pagetop