見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
──どうせ稔くんは、私に興味ないんだろうから。
そうだ、結婚して3ヶ月の間、休日までほとんど仕事でつぶして家にいないし、会話もろくにしてこない人だ。
そんな人に、どうしてわざわざ、自分のすることを相談する必要がある?
お互いいい大人なんだから、休日にどこへ出かけようと自由だろう。法律的、道徳的に問題がなければ。
高校の同窓会の出席ぐらい、ひとりで決めても問題ないはずだ。
……うん、別にかまわないよね。
どうせその日も、稔くんは仕事なのだろうし。夕食はどこかで食べてきてもらおう。
そう結論を出して、次の日には出欠通知のハガキを投函した。
その日の夜。
めずらしく稔くんが、早い時間に帰ってきた。
ここ3ヶ月のことを考えると、本当に珍しかったので、驚きつつ迎えに出る。
「ただいま……」
「お、お帰りなさい……ずいぶん、疲れてるのね」
玄関に入った途端、ぐったりと上がりかまちに座り込んだ彼の様子に、そう言わずにはいられなかった。
「…………あー、ごめん。気にしなくていいから、自分のことしてて」
と言われても、さすがに、あからさまに疲労困憊といった空気を漂わせている人を放っておけるほどには薄情になれない。ほとんど顔を見ずろくに会話もないとはいえ、同居人なのだ。
「そんな、しんどそうな顔してる人がおるのに、そうですかって勝手なことできへんよ。とりあえず荷物と上着貸して、直してくるから」