見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
少し苛立った勢いか、思わず関西弁が口をついて出た。
稔くんが腕に抱えていたスーツの上着と、仕事用のカバンを受け取って、稔くんの書斎となっている部屋に置いてくる。
それからキッチンに行き、グラスに水を注いで、玄関に戻った。
「水飲む? ちょっとごめん……って、熱あるんと違う?」
顔が赤くなっているように見えたので、額に手を当てると、普通より少し熱い気がした。
暦は9月上旬。残暑でまだ日中は暑いけど、朝晩は涼しい日が増えてきた。
相変わらず平日は遅く、土日も出勤しない日はないほどに仕事して、家でのんびりする時がろくにない。季節の変わり目の気候も手伝って、いいかげん無理がたたってきているのではないだろうか。
「そう……かな」
「そやって。最近夜は冷えるし、風邪ひいたんやと思うよ。着替えて休みや」
「……いい、自分で行ける。風邪やったら、移したら悪いから」
「そんなこと言うてる場合やないやろ。ほら、意地張らんと」
肩を貸そうとする私の動きを、断ろうとする稔くんを叱りつけて、ゆっくりと立ち上がらせた。
つらそうに歩く彼の体を左側から支えながら、寝室へ行く。
ベッドに稔くんを座らせた後、クローゼットから彼のルームウェアを適当に選んで出した。