見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
「荷物……ですか、はいどうぞ」
ピッ、と稔くんの指が解錠ボタンを押す。
私が焦って何も言えずにいるうちに、今度は玄関チャイムが部屋に鳴り響いた。
思わず玄関に走り、ドアを開け、届いた荷物を受け取る。
私の表情に業者の人は不思議そうな目をしていたけど、職業柄だろう、言及はしなかった。
ドアを閉めて振り返ると、先ほどの配達人と同じような目で、稔くんがこちらを見ていた。まあ当然だろう。
「はるちゃんの荷物? 届くの、知ってたの」
「……う、うん、まあ」
「それ何? ずいぶん大きい箱だけど」
確かに大きい。厚さこそそうでもないけれど、縦横はけっこう長い。中身にしわが寄らないように最低限の畳み方しかされていないのだろう。
「もしかして、服?」
さらっと言われて、誇張なく飛び上がる思いがした。
「え、ど、どうして」
とっさにごまかす考えも浮かばずに、正直に反応すると、稔くんは口の端だけで笑った。
「うちの母親が、けっこうよく服の注文してたから」
短い説明だったが、理解するには十分だった。
おそらく再婚してから、稔くんのお母さんはそれなりに贅沢をするようになったのだろう。服も量販店ではなくデパート、場合によってはオーダーメイドなんかも利用したかもしれない。