見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
そういった背景があるから、稔くんも服の梱包は見慣れているのだろう。ここまで察している人にごまかしを言うのは意味がないと思ったから、私は打ち明けることにした。
「……実はね、来週の土曜の夜、ホテルニューコタニで高校の同窓会があるの。先月お知らせが来てて、出るつもりでいるの伝えなきゃと思ってたんだけど、つい忘れてて……せめてドレス買いに行くタイミングでメッセージしとくべきだったとは思う。今まで黙ってたみたいでごめんなさい」
稔くんは答えない。怒ってるのかと思ったが、表情を見る限りそんな感じではなく、むしろ、無表情に近く見える。
彼が何を思っているのかが読めなくて、逆に不安が増してきた。
「あ、あの稔くん」
「ん?」
「──その、ほんとにごめんなさい。隠すつもりは全然なかったんだけど」
「わかってる」
謝らなくていい、と続けられたが、なんだか言い捨てるみたいに聞こえた。
「……え、っと。今さらだけど、同窓会行ってもいいかな……?」
「別に、俺に許可取る必要ないだろ。お互いいい大人なんだから。その日他の予定がないのはチェック済みだろうし。行ってこいよ」
「う、うん。ありがとう」