見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
【第5章】
その夜以来、稔くんは、頻繁に私を抱くようになった。
仕事が忙しいのは相変わらずのようだけど、以前よりは早く帰る日が増えたし、そういう時は翌朝が早くなければたいてい、私を求めてくる。
「……あっ、だめ、そこは……っ、ぁあっ」
「なに? ここ、気持ち良くないの」
「っ、知ってるくせ、に……んぅっ」
「ダメだよ、明花。はっきり言って。言わないともうしてあげないよ?」
「……っそこ、きもちいい……あぁっ!」
「うん、俺も気持ちいいよ……ここは?」
「あ、そこ、も……あっ、やぁ、深いっ──」
……こんなふうに毎回、式の夜並みに時間をかけた、甘い抱き方をされている。加えて、気のせいでなく稔くんの言動には、意地の悪さも混ざってきている。
同窓会の夜のような強引な行為こそしないけれど、所々に感じる彼の意地悪さには、あの夜に見せられた執着が垣間見えた。背筋を凍らせるような、それでいて全てを灼きつくすような、ぞっとするほどの執着心。
彼にとって、私との結婚は、利害の一致による契約事項のはず。式の夜──初夜の優しさも、契約の一部だと思っていた。
だからこそ、その後に続いたつれない素振りを、本当は私にさほど興味がない証拠だと解釈したのだ。
なのに、この真逆な態度は、どういう理由によるものだろうか。