見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!

 ……そんな、消えない疑問を心に抱えながら、今夜も彼に抱かれる。
 疑問を口にすることはできないままに。

 ふう、と朝食の席で私がついたため息を、稔くんは耳ざとく聞き留めたらしい。

「はるちゃん、大丈夫? 疲れてるかな」
「……多少は」

 かなり、と言いたいのを堪えつつそう答えたら、我ながらちょっと嫌味っぽくなってしまった。けれど私がいま感じている疲労の大部分が、彼が原因なのは確かだから、これぐらいの嫌味は許されてしかるべきだろう。
 当人も自覚があるのか、それもそうか、などと応じてくすくす笑いをもらしている。

「ごめんな。毎回はるちゃんが可愛すぎて、つい」
「……っ」

 いつものごとく言葉に詰まった私を見て、稔くんは笑みを深めた。3ヶ月前の──同窓会の夜以降、そういう発言も何故だか、頻出するようになっている。私が照れと恥ずかしさで言葉を失うのを、楽しんでいる節さえある。
 本当に、彼の意図がわからない。

「で、お疲れのところ、さらにごめんなんだけど」

 妙な言い回しに、私は思わず首を傾げた。何か話があるらしいのはわかったけど、何で先に「ごめん」なんだろう?
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