見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!

 金銭感覚、というか生活の価値観に違いがあるといろいろ大変だ……と今さらながら思う。そういう相手と結婚することを決めたのは自分自身だから、ある意味仕方ないけれど。

 帰宅後「なんでもいい」と言う稔くんの言葉に甘えて、レトルトソースを使ったパスタと、余り物の野菜でサラダを作った。普段の選択は高級志向だけど、もともとは一般市民暮らしをしていたからか、こういう食事でも文句を言われないのは助かる。

 とはいえすぐに疲れが取れるはずもなく、お風呂に入った後は、夢も見ないくらい深く眠ってしまった。


 日にちはあっという間に過ぎて、パーティー当日。

 坂根の本家に私が来たのは、今までに一度だけ。式を挙げる前に招かれて、夕食をご馳走になったことがある。
 その時は私と稔くん、ご両親と稔くんの妹二人が同席して、終始穏やかで静かな食事会だった。生まれながらのお嬢様育ちだからか、妹さんたちが食事中に騒いだりはしゃいだりすることは、まったくなかったのだ。

 その時の印象があったから、まさに親戚一同が会している今日の賑わいは、別の場所に来たように感じられる。
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