見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
いまだにこういう親戚が(しかも近しい立場に)いるのでは、稔くんも彼のお母さんも大変だろうな……と、他人事のように言える身ではないのだけど。
好かない義理の甥が迎えた嫁がこれまた、元は一般市民の私なのだから、さぞかし心の中では苦虫を噛みつぶしているのだろう。あくまでも表面上は微笑んでいるけど、こちらに向ける目は全然笑っていない。
であってもこちらとしては当然、愛想良く応対しなければいけない。虫が好かなかろうと何だろうと、義理の叔母と姪の関係なのだから。
「あら、話し込んでしまってごめんなさいね。あなたも一応、お忙しい身だものねえ」
「とんでもないです。お話できて楽しかったです」
10分ほど、そこはかとなく嫌味の感じられる発言に当たり障りのない受け答えをした後、叔母さんはわざとらしい上品な笑いをこぼしながらどこかへと去っていった。
それをきっかけに、式に出席していなかった遠縁、フェアルート商事の専務や常務である大叔父といった人たちが入れ替わり立ち替わり挨拶しにやって来る。
……親族との付き合いって、こんなに疲れるものだったっけ?