見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
両親が口うるさくなって以降、何度か「一人暮らしに戻ろうかな」とは考えた。でも家事の手間や予算を考えると踏み切れなくて、結局甘えたまま実家に居座る形を続けて今に至る。
そんな私だから、親の頼みや願いはできる限りは聞くべきだ、というポリシーみたいなものは持っている。けれど。
「ただいまー」
「明花、おかえりなさい。ちょっと来て」
リビングから顔を覗かせた母に、そう言われて。
「何?」
「今度の日曜、お見合いをしてもらうから、そのつもりでね」
と言われたのには、こう返さざるを得なかった。
「…………はあ?」
お見合い?
お見合いってあれよね、若い(最近は年齢様々かもしれないけど)男女が親の同席のもとで知り合って、本日はお日柄も良く、とか仲介の人が言うやつ。
これまで、両親がそういう話を出してこなかったのが、不思議といえば不思議だった。結婚はまだかと言うわりにはそれ以上の口出しをしてこなかったから、自主性に任せてくれているとばかり。
けれどその目算は甘かったようだ。
あんぐりと口を開けている私の前に、母は、写真と思われる装丁のファイルを差し出してきた。