見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!


 楽しげな声音からすると、私が望んでいることをすでに察している。けれど、私自身が言葉にしない限り、わからないふりをするのだろう。意地悪モードを発動した時の稔くんはほんとうに、心底、意地が悪い。

「もう、っ……直接、さわって、お願い」

 だから私は、恥ずかしさを堪えて、懇願を口にする。
 予想通り、彼はそれを聞いて、嬉しそうに笑った。

「可愛いな、明花。でもまだ駄目だ」
「え……?」
「ちゃんと言わないと。俺のそばにいるのは、俺が好きだからって」

 頭がぼーっとしているせいだけではなく、本気でわからなかった。この結婚は契約のはず。好感は持っていても、あくまでもお互いの都合が良いからと決めたことだ。

 私は、彼を好きだと気づいてしまったけど──言っても困らせるだけだから言わないでおくつもりでいる。なのに、いつ彼に気づかれてしまったのか。そして何故わざわざ言わせたがるのか。

 ただ単に、所有欲を満たしたいだけ──?

 そう考えた刹那、疼く場所をピンと弾かれる。

「あぁっん!」
「ほら、言えって。でなきゃもう何もしてやらない」

 転がすように指先でくりくりと捏ねられながら脅される。ひんやりと張り付く感触からして、ショーツにはもう、相当に愛液が染みているはず。それを確実に知られていること、秘めてきた感情を口にすることにとんでもない羞恥を感じながらも、直に暴いてほしい思いには結局抗えなかった。
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