見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
それに稔くんも、家にいる時はちゃんと分担を引き受けてくれている。私に任せきりにすることはないし、休日の昼ごはんにチャーハンやパスタを作ってくれたりもする。
最近聞いたところによると、就職してからの数年間は一人暮らしをしていたらしい。少しは苦労しなさいというご両親の方針のもと、ハウスキーパーを頼むこともなく自分で家事は何とかしていたという。
私が食事を出したり掃除洗濯したりするたび、彼が何かと「ありがとう」と言うのはそれが原因なのだろうか。仕事を抱えながら日々の家事をこなすことの大変さを知っているから。
ともあれ、私がしていることといったら、そんな程度だ。仕事に関して何か助けられているわけではないし、支えていると言えるほどのことは何もない。そう思って首を横に振るけれど、稔くんも間髪容れずに同じ反応を返した。
「俺が仕事に集中できてるのは、はるちゃんが家のことをしっかりやってくれてるからだ。君がいてくれると思うから、安心して仕事できるし家に帰ってこられる。それは間違いないよ」
ものすごく真剣な口調で力説されて、最大級に照れてしまう。「そんな……」と小声で反応するのが精一杯だ。
「でさ、そのお礼、っていうわけじゃないんだけど」
一転、今度はなぜか稔くんの方が、照れくさそうな様子で頭をかく。何だろうと思っていると、予想外のことを言われた。