クール天狗の溺愛♡事情
「あと一週間でお父さんは目覚めるわ。それまで一人になったりしなければ大丈夫よ」

「一人に? でも、いつも誰かがいてくれるわけじゃないし……コタちゃんはいるけれど」

「まあ、コタちゃんだけだとまだ心もとないわね。でもそのために風雅くんがいるんじゃない」

「っ!?」

 突然出てきた風雅先輩の名前にドキッとする。

 そして、さっき覚えたばかりの胸の苦しみも。


「風雅、先輩は……」

 そうか、風雅先輩はわたしを守るのが使命だっけ。

 でも、使命だけで守られるのは……今は逆に辛い。


「美沙都? どうし――!」

「お母さん?……あ」

 直感的に心を読まれたと気づいた。


 サトリが自分の力をコントロール出来るのは人それぞれ。

 そしてお母さんはたまに自分の意志とは関係なく聞こえてしまうと言っていた。

 どうしようもないことだと思ってるけれど、今はちょっと気まずい。


 わたしが風雅先輩を好きなこと、そして使命だけで守られるのは苦しいって思ってることを知られてしまった。


「……ごめんなさい」

「……ううん、仕方ないよ」

 謝罪は受け取るけど、やっぱり気まずくはなる。

 でも、そう思ったのはわたしだけみたい。


「美沙都……女は度胸よ!」

「へ?」

 突然拳を握って眉を吊り上げるお母さん。

 一体どうしたっていうんだろう。
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