クール天狗の溺愛♡事情
 昨日までは普通のクラスメートだったのに、今日はまるで従者か何かみたい。

 やだ、泣きそう……。

 それでも泣いたって仕方ないし、ちゃんと話して分かってもらわなきゃって思ってた。

 でも……。


「あ、美紗都さま。どうぞお席に」

 かしこまった仁菜ちゃんがわたしの椅子を引くのを見て、(こら)えきれなくなった。

「うっ……ふえぇぇ……」


「ええ!? 泣いちゃったよ!?」

「そんな、何か気に入らないことでもありましたか?」

 驚く仁菜ちゃんと慌てるみんな。

 ちゃんと話をしようと思っていたのが台無しだよ。


 でもこうなってしまったら、涙と一緒に吐き出さずにはいられなかった。


「みんなおかしいよぉ……ひっく……わたしは、なにも変わらないのにっ」

「ご、ごめん美紗都ちゃん! 謝るから、泣かないで?」

 みんなが戸惑う中、仁菜ちゃんが真っ先に普段の調子で謝ってくれた。


 でも、そのことに逆に安心したわたしはなおさら涙が止まらなくなる。

「ふっ……そういう、いつもの感じがいいよぉ〜」

 そのままわんわん小さな子供の様に泣いて、最終的にはみんなが『ごめんなさい』と謝りいつものように接すると約束してくれた。
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