クール天狗の溺愛♡事情
***

 ついた場所は開けたところ。

 岩穴のようなところに小さな祠があって、その前に湧き水で出来たらしい綺麗な池があった。


 そしてその池のほとりにはとてもキレイな男の子がいたの。

 青みがかった黒髪の男の子は、深緑色のブレザーというわたしと同じ中学の制服を着ている。

 静かに水面を見つめている彼は神聖な美しさがあって……。

 どうしてこんなところにいるんだろう、なんて疑問は浮かんだそばから消えてしまった。


 多分、見惚れちゃっていたんだと思う。

 だから、もうちょっとそんなキレイな男の子を見ていたいなって……。

 そう思ったんだ。


 でも、何かがわたしの足元を通り過ぎてビックリしてしまう。

 ネズミかもしれないと思ったら「きゃあ!」と声を上げてしまっていた。


「誰だ?」

 そうなると当然男の子はわたしに気づく。

 わたしを見た彼の新緑を思わせる緑の瞳もまた、とってもキレイだった。

 透き通ったその目に見つめられただけでドキドキしてしまう。


「あ、あの……わたし……」

 のぞき見していたような感じになっちゃってたから、悪いことをしたような気分になる。
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