クール天狗の溺愛♡事情
すると、血で見づらかったけれど傷口がみるみる塞がっていくのが分かった。
「これでいいんじゃないかな?」
コタちゃんがそう言ってわたしの手から自分の手を離す。
わたしはハンカチを取り出して血を拭き取り、傷が完全に塞がっていることをちゃんと確認した。
「良かった……」
ホッとして笑顔が浮かぶ。
見ただけでも痛々しかったから、本当に良かった。
「……美沙都、お前……」
「大丈夫ですか? もう痛くないですか?」
確認すると、驚いていた煉先輩は珍しく優し気な笑顔を浮かべる。
「ああ、大丈夫だ。……まだちょっと痛みはあるけどな」
そして手が伸ばされ、頬を撫でられた。
「煉先輩?」
「美沙都……俺は……」
わたしを見つめる目に熱っぽさを感じて、どうしたのかと思っていると――。
「ここにいたか! やっと見つけたぜ!」
わたしたちを追ってきた高校生の一人が大声を上げて現れた。
しまった! と思っている間にも彼は仲間を呼んでいる。
「ッチ! 俺はまだ痛みがあって走れそうにねぇ。足止めしとくから、お前は木霊と逃げろ」
「で、でもそれじゃあ煉先輩が……」
いくら強い鬼でも、相手は複数人だし年上の高校生。
足の痛みもある状態なら完全に煉先輩の方が不利だよ。
「これでいいんじゃないかな?」
コタちゃんがそう言ってわたしの手から自分の手を離す。
わたしはハンカチを取り出して血を拭き取り、傷が完全に塞がっていることをちゃんと確認した。
「良かった……」
ホッとして笑顔が浮かぶ。
見ただけでも痛々しかったから、本当に良かった。
「……美沙都、お前……」
「大丈夫ですか? もう痛くないですか?」
確認すると、驚いていた煉先輩は珍しく優し気な笑顔を浮かべる。
「ああ、大丈夫だ。……まだちょっと痛みはあるけどな」
そして手が伸ばされ、頬を撫でられた。
「煉先輩?」
「美沙都……俺は……」
わたしを見つめる目に熱っぽさを感じて、どうしたのかと思っていると――。
「ここにいたか! やっと見つけたぜ!」
わたしたちを追ってきた高校生の一人が大声を上げて現れた。
しまった! と思っている間にも彼は仲間を呼んでいる。
「ッチ! 俺はまだ痛みがあって走れそうにねぇ。足止めしとくから、お前は木霊と逃げろ」
「で、でもそれじゃあ煉先輩が……」
いくら強い鬼でも、相手は複数人だし年上の高校生。
足の痛みもある状態なら完全に煉先輩の方が不利だよ。