クール天狗の溺愛♡事情
「っ!?」

 一瞬だったけれど、彼らは気圧されたようにたじろいだ。

 でもどう考えたって強いのは彼らの方。

 すぐに立ち直ってしまった。


「……んなこと知るかよ。それじゃあ力づくで出て行かせるまでだ!」

「そんなことさせないよ!」

「やらせると思ってんのか?」

 コタちゃんがわたしを守るように前に立ち、煉先輩もふらつきながら立ち上がる。


 諦めたくはないけれど、どうやって逃げれば……。

 頭に浮かんでくるのは風雅先輩の顔。

 頼ってばかりじゃだめだとも思うのに、どうしても期待してしまう。


 使命のためだからってだけなのかもしれないけれど、いつも守ってくれる風雅先輩。

 それを寂しいと思ってるのに、こんなときはやっぱり来て欲しいって願ってしまう。


 今、無性に風雅先輩に会いたかった。


 ――風雅先輩!


 心の中でひときわ大きく彼の存在を思うと、次の瞬間つむじ風が巻き起こる。

 でもそれは、わたしたちの所には来ることなく高校生たちを襲った。


「うわあぁ!?」
「なんだこれは!?」

 悲鳴を上げながら吹き飛ばされていく彼らを見て、つむじ風に人為的なものを感じる。

 頭上でバサリと大きな翼が羽ばたく音が聞こえて、胸が熱くなった。
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