クール天狗の溺愛♡事情
「人の本質を見抜く力は、神の力だ。その話を聞いたとき、美沙都が山の神の子供で、俺が守るべき“山の神の大事なもの”なんじゃないかって思った」

 あ、あのときに風雅先輩は気づいたんだ……。


「嬉しかったよ。守るべき相手が美沙都なら、ずっとそばにいることが出来る。護衛だって言って、近くに行くことが出来る。……そう思ったから」

 見つめられるだけで溶けてしまいそうなほど甘い笑顔で、風雅先輩は言う。

 わたしが使命だからこそ、大事なんだって。


 嬉しすぎて、胸が苦しくて、逆に不安になる。

「っ……! ほ、本当に? わたし、風雅先輩は使命の方を大事にしているものだと思っていたから……」

「なんだ? 信じられないのか? 信じてもらえるまで好きって言い続けてもいいけど……。そうだ、それこそ《感情の球》を見てみたらどうだ?」

「え?」

「多分だけど、俺の今の感情は読み間違えるってことはないと思うから」

 自信たっぷりに断言する風雅先輩に、わたしは「じゃあ」と言って恐る恐る見てみた。


 読み間違えないってどういうことなのかと思いつつ集中すると、夏空色の風雅先輩の《感情の球》が目の前に現れる。

「――っ」

 息を呑んだ。
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