クール天狗の溺愛♡事情
 確かに、これは見間違えようがない。

 球が放っている光は、混じりけのない優しいピンク色。

 ハッキリとしたその色に、風雅先輩がそれだけわたしを好きだと……愛しいと思ってくれているのが分かって……。


「っあ……風雅、先輩……えっと、その……」

 嬉しいけど、それ以上に恥ずかしくなって言葉が出てこない。

 そんなわたしに、風雅先輩は言葉でも気持ちを伝えてくる。


「俺はさ、もっと美沙都のそばにいたいって思ってる。もっと触れていたいし……あと、キスしたい。……こんな気持ちは迷惑か?」

「い、いいえ……!」

 キスというところにビックリしつつも、迷惑なわけないから否定の声を上げた。

「そうか……じゃあ、美沙都は俺の彼女ってことで良いんだよな?」

「ふぇ!?」

 風雅先輩の彼女。
 風雅先輩の特別な女の子。

 わたしが、その女の子になれる?


「い、良いんですか?」

「いいに決まってるだろ?……俺も、美沙都の彼氏ってことで、良いんだよな?」

「かっかれ、し!?」

「ダメか?」

 少し不安そうに顔を覗き込まれ、頭を横にブンブン振る。


「ダメじゃ、ないです……」

 恥ずかしすぎて小さな声になりそうだったけれど、でも強い風に負けないようちゃんと聞こえるように伝えた。

 すると風雅先輩はふわっと幸せそうな笑顔になる。
< 144 / 161 >

この作品をシェア

pagetop