クール天狗の溺愛♡事情
 やだ、だめっ!


 色とりどりの《感情の球》。

 今それらは全て、赤に近い紫色のモヤをまとっている。

 でもそれは鮮やかな色じゃなくて、グレーが混ざった不気味な色。


 嫉妬の感情。

 それが今わたしに向けられている。


 前と同じ。
 ううん、前よりも質と量どちらも大きい。

 いつもならコントロール出来ているはずの力が制御出来ない。

 怒りや嫉妬みたいな負の感情を直接向けられると、勝手に流れ込んで来てしまう。


 それを小学五年生のあのとき知った。


 あのときは今みたいに勝手に《感情の球》が見えて、嫉妬が直接流れ込んできたところで怖くなって泣いた。

 そのすぐ後に助けが来たから、それだけで済んだ。

 でも今は……。


 き、気持ち悪い。

 怖いし、泣きたくなってくる。

 でも前よりも強いその毒のような感情は、恐怖よりも直接的な気持ち悪さをわたしに与えた。


 これ以上は……本当に無理……。

 胸を押さえ、口を引き結んで吐き気に耐える。


 でも、わたしがそんな状態になっても彼女達は話すのをやめない。
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