クール天狗の溺愛♡事情
 そんな彼の肩にはコタちゃんが乗っている。

 そっか、コタちゃんが呼んで来てくれたんだ。

 心配そうにわたしを見つめる目を見返して、ありがとうと心の中で呟く。


「美沙都、大丈夫か?……あんたたち、この子に何をした? 年下相手にこの人数、卑怯じゃないのか?」

 彼女たちを睨みつける風雅先輩の声には明らかな怒りが乗せられている。


 わたしのために怒ってくれていると分かるから正直嬉しいと思った。

 でも、彼女たちは実際には何もしていない。

 はじめに言った通り、忠告をしただけ。


 わたしが気持ち悪くなっているのは、わたしが彼女たちの感情を読み取ってしまったからだし。

「ふ、ぅが、せんぱい……」

 吐き気も少しだけマシになったので、ゆっくり彼に呼び掛ける。

 止めるように、風雅先輩のブレザーをキュッと握った。


「だい、じょーぶです……これは、わたしが勝手に……気持ち悪くなった、だけ……ですから……」

 とぎれとぎれだけれど、何とか伝える。

 いくら何でも、理不尽な怒りを向けさせるわけにはいかないと思ったから。


 でも、まだ本調子じゃないのに口を開いたからまた気持ち悪くなって口を押さえてしまう。
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