幼なじみはエリート潜水士
いつも、何かちがうと感じていた。
ステキな恋人は欲しいけど、合コンでうまくいったことはない。
相手から告白されても、私は断ってばかり。
そんなことを繰り返すうちに、いつの間にか誰からも誘われなくなってしまう。
でも、ひさしぶりのお誘い。
相手は若手IT社長だし。
ちょっと興味はあるけど、いつものように途中で帰ってしまうかも。
みんな楽しく会話をしてる中で、私だけ感じる罪悪感。
まだ、心の片隅にあるヒーローの存在。
「奈々ちゃんはどうするの?」
「私は……行きます……」
その場の雰囲気を壊すのが怖くて、私は参加することに決めた。
「じゃあ、SEさんと調整しとくね」
私は無言で首を縦に振り、スーさんに向かって頷いてみせる。
不安な気持ちを紛らわすため、私は紙コップに入ったホットコーヒーに口を付けた。