幼なじみはエリート潜水士

 やっとの思いで乗り込んだエレベーターを降り、ビルの外に出るけどハルくんの姿は無い。


「どこに行ったのよ……」


 左右をキョロキョロ見回してると、歩く人の隙間からバックパックが目に付いた。


「ハルくんだ!」


 私は夢中で走り始める。

 パンプスをカツカツ鳴らし、人目も憚らず叫びながら全力疾走。


「待って、ハルくん!」


 彼は歩みを止めず、人混みに紛れていく。


「待ちなさいよ! 春樹っ!」


 私のほうがアンタより年上なのに、どうして言うこと聞いてくれないの!

 こっちはスカートで走りづらいし、足下だってパンプスなんだよ!

 お願いだから止まってよ、ハルくん!


「社畜OLなめんじゃないわよっ!」



 意味不明な気合いを入れ、走り寄った私は彼のバックパックを手でつかんだ。



< 26 / 80 >

この作品をシェア

pagetop